従業員の賃金をアップするには?
「20年以上アップしない日本の賃金」ということが最近よく話題になっています(実際には社会保険料などの増額により手取り額は減っています)。
とは言え、経営者の方々も「従業員の賃金を上げてください。」といった政府の掛け声に対しては、経済成長していないのは政治の問題だろうと言いたくもなるのではないでしょうか?
中小企業の経営者としては「そりゃ上げられるものなら上げてあげたいけれど・・・」というのが本音ではないかと思います。
さて、ではそのアップしない日本の賃金の原因はどこにあるのでしょうか?
私はシンプルに、労働生産性との相関関係と考えています。
賃金が増やせられない原因はいたってシンプルであり、日本企業の労働生産性はこれまた1990年代から30年間増えていないのですから、賃金を増やそうにも無い袖は振れません。
更にこれは以下のグラフを見ていただければ明確ですが、労働生産性は企業規模に準ずるというのがデータ的にも明確です。
つまり、もともと中小企業は大企業に比べて労働生産性の面では不利な状態にあり、日本の99%以上を占める中小企業の労働生産性が増えなければ、日本の賃金水準が増えることはないということです。
そして実は事業規模が労働生産性に大きく関係するということを、私は30代前半に切実に体感しています。
私が入社した当時は10人ほどの会社だったのですが、皆が一所懸命に働いているにも関わらず、なかなか収益が増えてこないのです。
(当然のことながら退職者が相次ぎます。)
そしてそこには小規模事業所における以下のような問題点があるということが分かりました。
・いろいろと工夫を重ねても業務の効率化に限界点がある。
・設備やIT化の資金も十分に確保ができない。
・大量仕入や企業総合力によるコストダウンができない。
・中小企業は一人でマルチタスクを行うので、人材のフレキシブルな配置や各職務の専業化も困難(人件費に余力がない)。
・大手に比べて受注単価が小さく、駆けずり回ってもそれに見合う売上に繋がらない。
その時に私は「会社(経営者)と従業員が幸せになるためには、会社を拡大成長させていかなければならない。」ということを切に痛感したのです。
その後新規事業を起こして企業を成長路線にのせることを主導することができたのは、ひとえにその時の想い(志)が原動力となっています。
そこで従業員の賃金を増やすための選択肢は、
(労働生産性を増やすための)以下の3つになります。
1.限られた高収益型の企業になる(オンリーワン企業)
2.事業改革をして自社を拡大成長路線にのせる(革新的成長企業)
3.より成長が見込める企業に吸収してもらう(M&A)
1と2については、オンリーワンや独自性の高いビジネスモデルを創出して展開していくことが必須です。
3しか選択肢がない場合は、残念ながら中小企業に多い世襲の概念を断ち切る必要があります。
今政府は給与アップの掛け声を盛んに行っていますが、根本的な日本経済の在り方を変革しなければ、特に日本の99%以上を占める中小企業において多くの変革が為されない限り、大きな効果を産むことはないでしょう。
皆様方におかれましては、政府からの何かを待っているのはなく、是非発想を変えていただいて、中小企業の成長が日本経済の成長の要と捉えていただいて、健全な財務体質をつくり、継続的な賃金アップに繋げていくために、事業や組織の変革に取り組んでいただきたいと思います。
※新事業構築や事業改革のサポートもいたしますので、是非お気軽にご相談くださいませ。