中小企業の感染症対策
今はさすがにそのようなことも無くなりましたが、私が若い頃はインフルエンザであっても高熱で動けない状況を過ぎたら出社をしている社員も多く見受けられました。
結果同じ職場内の社員が次々と感染して多くの欠勤者が出ることも・・・。
現在は一般の医院でもインフルエンザの検査が簡単にでき結果がすぐに出るようになったこともあり、診断された時点で「解熱しても2日間は出社しないように」といった明確な指示が医師よりいただけます。
今回のような新型ウイルスの場合はその特性が未知であるために、日を追うごとに少しずつ判断基準が変化してきていますが、今後もSARSやMERS、COVIT-19のような新しいタイプの感染症が発生してくる可能性は十分に考えられます。
中小企業においても、そういった場合に最善の策がとれるように常日頃から対策を考えて準備をしておくことが必要です。
新型インフルエンザや今回のような飛沫・接触が主な感染ルートとなる感染症の場合に有効な手段として言われているのは、
・対人距離をとる
・しっかりと手洗いをする
・咳エチケット(咳やくしゃみの際に飛沫が周囲に飛ばないようにする)
です。
『対人距離をとる』については、
職場内よりも、まずは通勤リスクを考えて時差通勤とすることが比較的取り組み易い対策です。
早出早退にするか遅出遅退にするかは各社の状況によりますが、 通常の出退社時間から3~4時間もずらすといったことは難しいと思いますので、 社員の通勤ルートを考慮して出来るだけ混雑を避けられる時間帯を設定することで、交通機関での混雑はある程度回避することができます。
一方で社内においては、最低限の直接コミュニケーションは必要となりますが、 (可能な人は)在宅勤務をしたり、相互連絡は極力メールや画像通話を利用する等、社内でも直接的な対話を出来るだけ抑制することは可能です。
また今回のウイルスのように無症状の感染者が居るとの想定に立った場合には、 特に感染拡大地域においては、 社内での飛沫感染を抑制するために 社内においても全従業員がマスクを着用するといったことも有効な策と考えられるでしょう。
更に意外に重要なこととして、社員が若干でも体調に変化が出たときには、無理をして頑張るのではなく、直ちに安全衛生担当者などに報告を上げてもらう社内風土を作っておくということです。
これは窓口をしっかりと定めて周知をすることだけでなく、どのようなことでも気軽に報告・相談ができる職場環境を作っておく必要があります。
加えて、微熱などは本人も気づかないことも多いことから、「全従業員が周囲の人の健康状態を気に掛ける」という意識を持っていただくことも大切で、 『顔が赤っぽいけど熱を測ってみたら?』などとお互いが声がけをするなどの環境づくりは実はとても重要なことです。
一方、『しっかりとした手洗い』や『咳エチケット』の対策としては、
「手洗い励行」「通用口や洗面所への消毒液の設置」「マスクの配布」などは各社において既に行われていると思いますが、 これらは防災対策と同様で平時からの習慣付けや一定量の用品確保をしておくことが大切です。
そうすることによって、商品が不足したときでも社員への適切な対応ができますし、一時的に集中する市場の用品不足状態を少しでも緩和することにも繋がります。
そしてこれらの用品は1~2年ごとに製品を入れ替えるようにして、非常食と同様に、旧在庫を従業員に配布をすれば、花粉症の方も多い現代において社員にも喜んでもらうこともできます。
最近は企業に訪問すると、入口受付のところに来客用の消毒液を置いてあるところも見受けられますが、ごく直近においては品不足で置けなくなってきているところもあるようです。そういった状況を回避するためにも平時からの準備が大変重要になってきます。
これらのことをしっかり準備しておいた上で、その 時々の状況をしっかり見極めて、従業員に対して継続的に適切な注意喚起を発信していくことが、社員および企業を守る上で大切なことと言えるでしょう。
経済もそろそろ前向きに動き出すと思われますが、「喉元過ぎれば・・・」になることなく、この危機を今後の経営に活かすことが重要ではないでしょうか。