経営者の正しい知識と正しい判断が重要です
新型コロナウイルスの影響はあらゆる業界において多大な影響を与えています。
特に観光業界、飲食業界における影響は深刻で、帝国データバンクの最近の倒産情報には「新型コロナウイルス関連倒産」の文字が並んでいます。
このウイルスについては無症状や軽い風邪程度の罹患者も存在することが、よりタチの悪い感染症ととらえられるところです。自身はもとより誰が感染しているか分からないということで、水面下でひそかに感染拡大していくところはあたかもSF映画の如くです。
とは言え、企業においては感染症から従業員の皆さんや関係者の皆さんを守らなければなりませんが、そこで必要となるのはまず正しい知識になります。「敵を知り、己を知れば百戦して危うからず」という孫子の言葉通り、防御するにも正しい知識を持っていることが必要不可欠です。
医学・公衆衛生学において名高い米ジョンズ・ホプキンス大学発信の資料によると、新型コロナウイルスについては以下のようなことが書かれています。
・ウイルスは生物ではなく何層もの脂質でできた保護膜に覆われたタンパク質分子である。
・このウイルスは人の粘膜細胞などに付着することで増殖をする。
・細菌のような生物ではないので殺菌剤や抗生物質は効果がない。
・65%以上のアルコールにより破壊される。
・付着したウイルスは、目安として生地上で3時間、銅・木材上で4時間、段ボール上で24時間、金属上では42時間、プラスチック上で72時間、活性化した状態が続く。
・衣類をはたいたりすると付着したウイルスが最大3時間程度空気中を浮遊して鼻などに付着する可能性がある。
・紫外線はウイルスの蛋白質を破壊するので、使用済みマスクなどのウイルス不活性化には紫外線ライトが適している。
これらのことを理解すると効果的な対策も分かってきます。
◆ウイルスの被膜となっている脂質を壊すには石鹸や洗剤で洗うのが最も効果的。
(食器の油汚れを落とすのに洗剤を使うのと同じです)
◆一般的な殺菌剤や抗生物質の投与ではウイルスを防ぐことはできない。
(インフルエンザウイルス等の場合も同様です。ただ他の細菌による炎症を抑えるために抗生物質を使用することはあります。)
◆アルコール除菌スプレーでもアルコール度数が高くないものは効果が無い。もちろん強いと言われているウォッカ等の酒類においてもアルコール濃度が不足。
(一般的に販売されている除菌剤など度数50%程度かそれ以下のものも多いです。)
◆外出した際の衣類やマスクは外側を持たずにそっと脱いで直ちに洗濯や廃棄。その後すぐに石鹸での手洗いとうがいを行う。
◆軽症者を受け入れたホテルなどへのその後の宿泊について特に懸念は不要。
(もちろん使用後に消毒はすると思いますが、放っておいてもウイルスは一定日数で自滅し不活性化してしまいます。)
こういった知識を持つことは自身や自社の従業員、関係者の方々を守るために大変重要なことです。
今回のような企業にとって大きな危機となるような状況下においては、総務など社内の安全衛生管理者にお任せとするのではなく、経営者自身が正しい知識を持って正しい判断ができるようになっておくことが必要です。
危機的事態においてこそリーダーはその資質を問われることとなります。