『健康経営』とは?
『健康経営』の定義は、
1.従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法。
2.健康経営への取り組みにかかる支出を、コストではなく経営的投資
としてとらえる、とあります。
そして、「従業員の活力アップ」や「生産性向上」、をもたらし、「企業の成長」にもつながる手法であるということです。
しかし本当に『健康経営』の導入で、そういった様々な経営課題を本当に解消できるのでしょうか?
中小企業の経営者の皆さんからすれば、そういった疑問を持たれるのは無理のないことだと思われます。
そこで、自ら中小企業において長きに渡りマネジメントと経営に携わってきた立場から、『健康経営』の導入について解説いたします。
我が国では、2000年代に入り生産年齢といわれる15~64歳の人口は減少の一途をたどり、年々その傾向が顕著になってきています。
結果として、中小企業では慢性的な働き手不足となっており、民間調査機関(リクルートワークス研究所)の調査では、従業員数300人以上の企業の大卒求人倍率が1倍前後なのに比べて、 中小企業においては2018年以降急激な悪化をたどっており、実に大卒求人倍率がその10倍近くと大きくその差が開いてきています。
(2021年度は新型コロナウイルスの影響で中小企業の求人数が大幅に減ったことで一時的にその差は3~4倍と少なくなりましたが。)
つまり若い働き手が減少し、かつ大手企業に流れていくことで、中小企業は現在著しい採用難の状況となっているのです。
では、その限られた求職者が中小企業において最も求めているものは一体何でしょうか? 2020年度就活学生に対する民間調査会社(株式会社ディスコ)の資料によれば、
中小企業を受けた理由としては、
1位「会社の雰囲気がよい」
2位「やりたい仕事につける」 が群を抜いています。
一方中小企業を受けていない理由としては、
1位「給与・待遇が良くない」
2位「安定性に欠ける」
3位「知名度が低い」
4位「福利厚生が不十分」 となっています。
もちろん大手企業と比較されても困る部分もありますが、別の調査においても求職者は「従業員のことを大切に思ってくれる企業」に勤めることを望んでいるとされており、やはり「雰囲気の良い会社」や「社員にしっかりと配慮してくれる会社」に応募が集まり、またそういった会社は退職者も少ないなどの結果にもつながっています。
『健康経営』は、「健康増進や労働環境整備にかかる支出をコストではなく経営的投資としてとらえること。」としています。
投資にはリスクとリターンが伴いますが、実は『健康経営』は自社に合わせた僅かな投資によっても効果が得られる、費用対効果の高い投資とも言われています。
そして『健康経営』は活動を継続していくことが大変重要であり、それにより企業組織が活性化していき、事業の成長にもつながっていくことになるのです。